難治性・反復性の副鼻腔炎（蓄膿症）

副鼻腔炎（蓄膿症）とは

副鼻腔炎は、ウイルスや細菌に感染して副鼻腔に炎症が起こって発症します。別名「蓄膿症（ちくのう症）」とも呼ばれます。副鼻腔炎は耳鼻科で適切な治療をすれば完治する病気です。しかし炎症が長引いて慢性化してしまうと、その分治療にも時間を要します。副鼻腔炎は、主に急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の2種類に分けられます。

【急性副鼻腔炎とは】

ウイルスや細菌に感染して炎症が起こると、鼻粘膜が腫れ、鼻腔～副鼻腔をつなぐ細い道が塞がれた状態になります。この道が塞がれると、副鼻腔内で細菌が増殖し炎症が強くなるため、急に鼻水、鼻づまりといった症状が現れます。この状態を「急性副鼻腔炎」といいます。急性副鼻腔炎の場合、発症から1ヶ月未満で症状が消えていくことが殆どです。

副鼻腔炎の症状

耳鼻咽喉科に来院される方で以下のような症状がみられる場合は、副鼻腔炎が疑われます。

【急性副鼻腔炎の症状】

• 発熱、風邪症状
• 鼻漏（びろう）、鼻閉（びへい）、後鼻漏（こうびろう）
• 頬部痛（きょうぶつう）、歯痛

鼻づまりや濁った粘りのある鼻水といった症状が現れ、副鼻腔に膿が溜まることで、おでこ～頭、さらには目の奥や頬に痛みを感じたり、嗅覚が低下したりといった症状もみられます。これらが慢性化してくると、下記の症状も併発して完治までに時間がかかります。

【慢性副鼻腔炎の症状】

• 咳などの呼吸器症状が３ヶ月以上続く
• 副鼻腔に溜まった膿が炎症を引き起こし、更に膿が溜まる悪循環
• 膿を排出できないことで生じる頭痛、頭重感
• 顔周りの圧迫感
• 鼻茸(鼻ポリープ）

副鼻腔炎の原因

副鼻腔炎の主な原因は、ウイルスや細菌感染です。具体的に次のようなものが挙げられます。

【副鼻腔炎の原因】

• インフルエンザウイルス、RSウイルスなどの風邪のウイルス
• 花粉やハウスダスト、ダニから引き起こされるアレルギー性鼻炎
• 虫歯、歯周病

「上顎洞」と呼ばれる、頬の内側にある副鼻腔と上あごは繋がっています。そのため鼻だけでなく、歯の炎症が副鼻腔炎の発症につながる場合もあります。
副鼻腔炎は歯科で、耳鼻咽喉科とは別の病名で呼ばれます(歯性上顎洞炎（しせいじょうがくどうえん）)。

副鼻腔炎の検査方法

副鼻腔炎の疑いが持たれたら、耳鼻科ではまず医師による自覚症状の聞き取り(問診)を行います。次に先端にカメラの付いた細い内視鏡を使って、鼻腔の奥にどのくらい炎症がみられるか、鼻茸(鼻ポリープ）があるかなどを調べます。発症原因が細菌の可能性があれば、喉や鼻の奥から鼻水や膿などを採取する検査を行い、原因となる細菌を特定することができます。
急性副鼻腔炎の場合は風邪症状と似ており、発症に気付かず耳鼻科を受診しないまま放置してしまう患者様が多くいらっしゃいますが、適切な治療を行うためにも早めに耳鼻科を受診することが大切です。

副鼻腔炎の治療法

副鼻腔炎の治療には、多くの場合「薬物療法(薬の内服)」と「局所療法(直接患部である鼻へ処置をすること)」を用います。
患者様の症状に合わせて双方の治療方法を組み合わせ、根気よく治療していくことが重要です。

【薬物療法】

薬物療法では、副鼻腔炎による鼻水や痰の排出を促す「消炎酵素薬」や、「去痰剤（きょたんざい）」という内服薬を耳鼻科で処方します。また解熱鎮痛剤や抗生物質には、細菌増殖や症状を抑える効果があります。(ただし症状が軽いときや、副鼻腔炎の発症原因であるウイルスの種類によっては、抗生物質は使用しません。)
さらにアレルギー性鼻炎の併発がみられる場合には、症状緩和のために抗アレルギー薬を処方します。

【局所療法】

局所療法では、鼻汁吸引によって鼻の通りを良くしたり、鼻汁吸引後に霧状の薬(抗生物質や少量のステロイド)を鼻から吸い込む「ネプライザー」という処置を行ったりします。お子様の場合は特に、できるだけ薬物療法や局所療法で治療を進めることが殆どです。

【手術療法】

副鼻腔炎が重症化して鼻茸（鼻ポリープ）ができるような慢性副鼻腔炎の場合、前述の治療方法だけでは効果がなかった場合は、内視鏡下副鼻腔手術を検討しております。内視鏡下副鼻腔手術は倉敷市の倉敷平成病院に入院していただき、院長の執刀で行っております。他院へのご紹介も可能です。

副鼻腔炎（蓄膿症）の症状でお困りの方は、倉敷市の耳鼻咽喉科 ふくしまクリニックにご相談ください。