【2】鼻中隔弯曲症による鼻づまりの手術
鼻づまりの原因として
①アレルギー性鼻炎、②鼻中隔弯曲症、③副鼻腔炎、④アデノイド等があります。
ここでは②鼻中隔弯曲症に対する鼻中隔手術についてご説明します。
鼻中隔は左右の鼻の穴の仕切りで、鼻中隔で鼻は左右に分かれています。鼻中隔は鼻の前端から奥の方まで板状に続いています。一見すると一枚の板ですが、実は何枚もの骨と軟骨が連なってできています。その左右の表面に粘膜がはって鼻中隔はできています。
鼻中隔弯曲症
子供の顔から大人の顔に成長する過程で、鼻中隔も大きくなります。
何枚もの骨と軟骨で形成されている鼻中隔は、つなぎ目で歪が生じ弯曲します。これが、鼻づまりの原因になります。
鼻中隔手術
鼻中隔の前方(片側のみ)に小切開をします(傷は外観からは見えません)。
内視鏡を鼻中隔の粘膜下に挿入して、粘膜は温存して、曲がっている部分の骨と軟骨を摘出します。鼻中隔の上方と前方の軟骨は、取りすぎると鼻が低くなる(鼻筋が低くなる、鼻の先端が低くなる)ため、矯正できる範囲には限界があります。
合併症・リスク
①鼻中隔穿孔(びちゅうかくせんこう):頻度は低いですが、起こり得る合併症です。
鼻中隔穿孔があっても何も症状が出ないことが多いです(日々の診察時に、手術を行っていない方でも、鼻中隔に穿孔があり、ご本人も全く症状がない例を見かけます)。穿孔が生じると、孔の辺縁の粘膜から出血しやすい事があります(多くの場合は無症状です)。
②鼻が低くなる:鼻中隔の上方と前方の軟骨を取りすぎると、鼻が低くなるとなるため、矯正できる範囲には限界があります。そのために、限界の範囲内で矯正しています。
③鼻中隔血腫(びちゅうかくけっしゅ):予防的に術後は鼻内にスポンジを留置しています。
(これまで院長の執刀で、術後6か月後のまでの診察で穿孔、鼻が低くなった例はありません。またその後の長期経過でも、問題を生じた例の確認はありません。しかし、鼻中隔穿孔と鼻が低くなるは起こりえる合併症です。)
監修:岡山県倉敷市 ふくしまクリニック 院長 福島 久毅
川崎医科大学医学部卒業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。川崎医科大学耳鼻咽喉科にて准教授を務め、これまでに鼻科手術2,000件以上、耳科手術500件以上の執刀実績を有する。現在も倉敷平成病院での鼻科手術の執刀を行っている。