ふくしまクリニック
アレルギー性鼻炎(花粉症)の手術hayfever

アレルギー性鼻炎(花粉症)の手術

【1】アレルギー性鼻炎(花粉症)の手術

アレルギー性鼻炎の3大症状は「くしゃみ、はなみず、鼻づまり」です。
通常は、内服薬や点鼻薬で治療します。しかし、重症の方には、手術もあります。
下鼻甲介が腫れることで鼻づまりが起こるため、その下鼻甲介のボリュームを減らす下鼻甲介手術【1-A】
くしゃみ、はなみず、鼻づまりの指令をだす神経を切断する翼突管神経切除術【1-B】
これら2つの手術を行います。

【1-A】下鼻甲介(かびこうかい)手術

鼻の中に下鼻甲介という隆起があります。アレルギー性鼻炎ではこの下鼻甲介が腫れて、鼻がつまります。
本来、下鼻甲介は、鼻内に気流を作る羽の役目をしています。例えると、車のエアコンの吹き出し口にある羽の役割です。この羽のおかげで、エアコンの空気は、遠くまで届きます。逆に、鼻づまりはこの羽が腫れて吹き出し口が塞がった状態です。下鼻甲介は役目のある羽なので、手術で完全に無くしてしまうわけにはいきません、ボリュームを減らさせます。
(レーザーによる下鼻甲介の手術は、この下鼻甲介の粘膜を焼灼して、粘膜を少し萎縮させ、下鼻甲介のボリュームを減らさせています。効果は軽微です。粘膜は再生されるため、約1年で元に戻ることが多いです。お手軽にできるというメリットがあります。

術式
下鼻甲介の前端に小切開をして、粘膜の下で下鼻甲介の骨をくり抜きます。粘膜は温存し、骨だけを除去することで、下鼻甲介の羽の機能は温存しボリュームを減らさせます。

合併症・リスク
①出血:術後出血の予防のため入院中はスポンジが鼻内に入っています。

②感染:予防的に術中、術後に抗生剤の点滴と内服をします。

③エンプティ ノーズ(鼻が通っているのに、つまった感じがする現象):前述の様に本来、下鼻甲介は鼻内の気流を作る羽の役目をしています。下鼻甲介を無くしてしまうと、鼻が通っているのに、気流がなくなり、つまった感じがします。この現象が起きないようにする為に、下鼻甲介の粘膜は温存し、骨だけをくり抜く術式を行っています。
(過去に国内でも報告のある合併症ですが、これまでに院長の執刀で本現象が出現した例はありません。)

【1-B】翼突管神経切除術(よくとつかんしんけいせつじょじゅつ)

本来、鼻には鼻呼吸中に異物が鼻内に入ることを防ぐ機能があります。鼻が異物を感知すると、①くしゃみで追い出す、②鼻水で洗い流す、③鼻の粘膜が腫れて、鼻づまりで異物を入れない機能です。アレルギー性鼻炎は、大した異物でもないのに、この現象が過剰におきている状態です。この反応を主に行っている部位が、下鼻甲介という隆起です。この反応を行っている神経が翼突管神経です。翼突管神経は鼻腔内に広く分布していますが、下鼻甲介に分布している枝だけを選択的に切断することで、この過剰反応を抑え、アレルギー症状を改善させます。

術式
前述の下鼻甲介骨切除術につづけて、粘膜下で後鼻神経を切断します。

合併症・リスク
①出血:術後出血の予防のため入院中はスポンジが鼻内に入っています。
内視鏡下に下鼻甲介の粘膜下で切断する術式のために、術後出血のリスクは低いです。
(これまでに院長の執刀による本術式で術後に追加処置が必要となる程の出血を来した例はありません。)

②鼻が乾く:以前は、翼突管神経の下鼻甲介に分布している枝だけを下鼻甲介の中で選択的に切断することは、技術的に出来ずに、鼻腔内の全体に分布する根本でこの神経を切断する術式がなされていました。この場合は、鼻全体で鼻汁の分泌が減り過ぎて、鼻が乾くという合併症がありました。それを防ぐために、内視鏡下に下鼻甲介の粘膜下で選択的に切断しています。
(これまでに院長の執刀で本現象が出現した例はありません。)

監修:岡山県倉敷市 ふくしまクリニック 院長 福島 久毅
川崎医科大学医学部卒業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。川崎医科大学耳鼻咽喉科にて准教授を務め、これまでに鼻科手術2,000件以上、耳科手術500件以上の執刀実績を有する。現在も倉敷平成病院での鼻科手術の執刀を行っている。