ふくしまクリニック
難聴(感音難聴、伝音難聴)hearing loss

難聴(感音難聴、伝音難聴)

難聴とは

音が耳に入り、脳に伝わるまでの経路の途中で障害が起こり、聞こえにくい、または全く聞こえない状態のことを「難聴」といいます。先天性難聴と後天性難聴があり、先天性難聴は遺伝子異常による出生時からの難聴であり、約1,000人に1人程の割合でみられます。後天性難聴は、疾患や外傷、ストレス、加齢など様々な外的要因から起こる難聴です。

障害の箇所によって、伝音難聴・感音難聴・混合難聴の三種類の難聴があります。最近ではヘッドホン・イヤホン難聴なども後天性難聴の問題として多く見られるようになっております。

難聴の種類と症状・原因

【伝音難聴】

音が伝わる過程に問題が生じている状態の難聴で、外耳・中耳に何らかの原因が考えられます。滲出性中耳炎・慢性中耳炎や耳の構造の奇形、感染症や疾患でよく見られる難聴です。しっかりと治療をすると治る可能性が高いタイプです。症状としては、耳のつまりを感じる、大きな音は聞こえるものの通常の音が聞こえづらい、などの症状が現れます。

【感音難聴】

音を感じる機能に問題が生じている状態の難聴です。内耳、蝸牛神経、脳に何らかの原因があると考えられます。突発性難聴やメニエール病、加齢性難聴が感音難聴に該当します。症状としては、単に聞こえないというだけでなく、音の内容がわからなくなり、言葉が聞き取れないようになったりします。

【混合性難聴】

伝音難聴と感音難聴の2つが合併した状態を指します。同時に別の症状がみられる難聴であるため、症状・原因が複数あります。

難聴の検査・診断方法

【難聴の種類と程度の検査】

  • 標準純音聴力検査

一般的な聴力検査を指します。周囲の雑音を遮断するために、ふくしまクリニックでは専用に防音室で検査を行います。
聞こえる音の高さと強さを検査します。
ヘッドホンを用いた検査を気導検査といい、難聴の症状の度合いを測ることができます。正常・軽度・中等度・高度・重度の5段階に分けることができます。
また、骨導の検査も重要です。骨導検査は、音源を耳の後ろにあて、直接骨に音の振動を与え、内耳の蝸牛を刺激します。気導検査と骨導検査で難聴の症状がどこの障害により起こっているかがわかります。

【難聴の原因を調べる検査】

  • 語音聴力検査

言葉の聞き取りやすさを調べる検査です。語音(アカサタナの音)が録音されたレコーダをヘッドホンで聞いていただき、聞き取った語音を発音、または紙に書いていただきます。
感音難聴では、いくら音を大きくしても明瞭度が上がらなくなります。これが「声は聞こえても何を言っているか聞き取れない」という症状の原因です。

  • ティンパノグラム

耳の中の鼓膜や内耳の疾患を確認するための検査です。鼓膜に圧力を加え、鼓膜の動きを測定することで、疾患による難聴を検査することができます。

難聴の治療

【伝音難聴】

  • 急性中耳炎

鼻から中耳に風邪の菌が入ることで起こります。発熱、耳の痛み、耳漏などが起こります。特に、幼小児でみられます。抗生剤の内服で治療します。重症例では鼓膜切開をする場合があります。

  • 滲出性中耳炎

中耳に滲出液が溜まっている状態です。発熱、耳の痛みはありません。軽度から中度までの難聴をきたします。幼小児では、難聴の訴えが乏しく、聞き返しが多いことで発見されることがあります。急性中耳炎が治る過程、アデノイド肥大などが原因で起こります。

大人の場合は、副鼻腔炎や上咽頭がんが原因の場合があります。初期は、薬と鼻・副鼻腔処置で治療します。長期化した場合は、鼓膜を切開し、貯留液を吸引除去する方法や換気用チューブを留置し、貯留液が溜まらないよう喚起する方法があります。進行すると真珠腫性中耳炎に移行する場合があり、厳重な経過観察が必要です。

  • 慢性中耳炎

繰り返す中耳炎が原因で鼓膜に穿孔ができてしまうことがあります。穿孔が原因で難聴、耳漏が起こります。中耳がきれいな場合は、当院の外来で鼓膜穿孔閉鎖術を行います。中耳に肉芽(にくげ)という炎症のかたまりがある場合は、川崎医大もしくは倉敷中央病院にご紹介し、全身麻酔で手術します。

  • 真珠腫性中耳炎

外耳・中耳の骨が徐々に破壊される中耳炎です。初期は、特に症状はありません。進行すると難聴、耳漏が出現します。
さらに進行すると高度難聴、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎、味覚障害も起こります。手術が唯一の治療方法です。そのため、他の中耳炎から真珠腫性中耳炎に進行しないよう十分に経過観察が必要です。

【感音難聴】

  • 突発性難聴

ある日突然に発症する片耳の難聴です。めまいを伴うこともあります。内耳の障害で起こりますが、原因は未だに不明です。しかも、この難聴に対する特効薬は残念ながらありません。そんな中でも比較的効果が期待される薬が副腎皮質ステロイドです。この内服や点滴を行います。そのほかに内耳の循環を改善させる薬やビタミン剤などを組み合わせます。

発症から1か月を経過すると治療の効果は低いです。発症から1-2週間以内には治療開始をお勧めします。それでも治る可能性は6割です。4割の患者さんは、治らないか、不十分な改善にとどまります。治療効果が不十分な場合で、耳の中にステロイドを投入する治療法をご希望される場合は、倉敷中央病院などへご紹介いたします。
当初、突発性難聴と思われていた症例のうち1%にMRIで良性の腫瘍が原因のことがあり、経過によってはMRIをお勧めすることがあります。

  • メニエール病

繰り返すめまいとと難聴が特徴的な症状です。急性期には難聴に対して、ステロイド治療を行うこともあります。急性期が過ぎると、ストレス・不安などがあると反復発作を起こしやすいので、水分摂取、有酸素運動、めまい体操、早寝早起き、塩分制限、ストレス回避などの生活指導も行います。

  • 加齢性難聴

難聴は認知症の発症に大きく関与しています。加齢性難聴は少しずつ進行していくため、まだ聞こえるからと放置してしまうことが少なくありません。当院では補聴器外来も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

倉敷市の耳鼻科ふくしまクリニックでは、患者さん一人一人の様々な症状に合わせた治療方法をご案内させていただきます。「突然聞こえなくなった」「最近少し聞こえづらい気がする」「めまいや吐き気がする」と感じる方は一度ご来院いただけますと、ご不安を取り除くことができると思います。是非一度ご検討ください。